鍼治療による内出血のリスクマネジメント

顔面部における内出血のリスク

鍼によって内出血が起こる場合があります。特に目の周りで内出血が起きてしまうと、見た目が気になってしまったり、他者から指摘を受けたり、患者さんはストレスを感じてしまいます。施術前に、内出血のリスクを説明し、同意を得たうえで施術を行うことが大切です。

◆内出血とは
身体に鍼を刺入する際、通常は血管を傷つけることはありません。しかし、まれに鍼の刺激で血管が傷ついてしまい、そこから皮下組織に出血を起こす場合があります。内出血が起こると、皮膚表面が、青や黄、紫色になったりしますが、通常は痛みはありません。

内出血は、手足や顔を何かにぶつけた時にも起きますが、鍼による内出血も同様です。痕を残さず自然に消えていきます。血管外に漏出した血液成分は、血小板による止血後、マクロファージなどにより消化・吸収されます。

◆内出血が起こりやすい部位
顔や目のまわりは、皮膚も薄く、毛細血管が豊富なため、他の部位よりも内出血が起きやすい部位です。目の周りの中でも、下瞼は特に内出血しやすい場所なので注意が必要です。また、こりの強い部位や血流が悪くなっている部分は、血管壁の弾力性が弱くなっている場合があるので、内出血を起こしやすいと言えます。

◆内出血の経過
内出血が起きても、7日程度で薄くなり、必ず痕は残らず治ります。尚、最も強い内出血は治るまで2週間~1カ月程度かかる場合もあります。見た目が気になるほどの内出血に関して、ごく稀ですが、内出血を100%回避することは不可能です。鍼を抜いた直後に内出血が起こる場合がほとんどですが、施術の翌日や2~3日経ってから内出血が出てくる場合もあります。

 ◆内出血を起こしやすいケース
・遺伝や体質、病気などがある人(膠原病、糖尿病、高血圧、喫煙、飲酒等)
・抗血栓薬を使用している人
・疲労や睡眠不足、ストレスで血流が悪い、むくみが強い人
・緑内障の点眼薬を長期使用している人
・加齢(特にご高齢の場合は内出血が起きやすいと言えます。)
・強い刺激で鍼治療を行う人

◆内出血のリスクマネジメント

当院では、初診時に内出血のリスクを説明し、患者様から了承を得てから目の周りの治療を行っています。また、万一内出血が起きてしまった場合は、

コンシューラーやカバーファンデーション

鍼における内出血のリスク

目の周りに鍼を行う場合は、内出血のリスクについて配慮することが大切です。特に、下瞼は内出血が起こりやすい部位です。また、内出血が起こると非常に目立つ部位でもあります。そのため、患者さんに対して、事前に内出血のリスクを説明し、同意を得ることが肝要です。内出血の対策としては、下瞼には美容鍼を使う方法があります。あるいは、治療部位の優先順位を考え、下瞼に鍼を打たない選択肢もあります。

鍼における眼球裂傷のリスク

私たちの刺鍼法は、眼窩縁の骨に向けた横刺・20度斜刺を基本としています。部位にもよりますが、刺入深度も5mm程度を想定しています。また、眼球に向けて鍼を刺入することは通常ありません。ただし、鍼の操作に慣れているのが前提で、手先の感覚を練磨することが大切です。

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