こりに鍼をする意義、ファシアリリースという新しい鍼灸のアプローチ

当院は「筋肉のこり(硬結)に的確にアプローチする「現代鍼灸」を治療のベースにしています。 

よく鍼灸師の方に、「こりに鍼をする治療(標治法)で病気が治るのか?」という質問を受けますが、このような方は「こり」というものの本質を理解できていないのだと思います。「こり」という言葉は漠然としておりますので、伝えるのが難しいのですが、どちらかというとトリガーポイントやモーターポイントと言ったほうが良いのかもしれません。ただし、これらの言葉をもっても、少し足りない気がしま

私たちは、「こり」は万病の源、という考え方に基づいて治療を行っています。また、「こり」の状態から「病態を把握」し「治療を内容」を組み立てる、といった独自の手法を行っています。

例えば

●身体全体のこりの状態を診ることで、病気の原因を推察できる。
●こりを、しっかり取ってあげると自然治癒力が高まる。 
●血管や神経を圧迫しているこりを取ることで、患部に血流を促すことができる。 
●こりを取ることで「むくみ」や「冷え」が解消する。 
●こりを取ることで自律神経を整えることができる。

つまり、「こり」を的確に取り除くことで、病気が治癒へ向かう契機を引き出すのです。

◆なぜ私たちは「こり」という概念を基に治療を行うのか?
「こり」をしっかり治療する意義については、少し視野を広げ医療業界全体を見る必要があります。

医療はすごい勢いで進歩しており、西洋医学的な治療で、多くの病気が診断可能となり、治癒に至るようになりました。一方で、患者さんの中には、どのような病院を受診しても症状が良くならないといケースは少なくありません。

実は、そのような患者さんの多くは「こり」が原因なのです。「こり」によって病状が悪化している患者さんは、様々な病院を受診しても良くなりませんが、当院で鍼を受けると実に良くなります。

逆に、「こり」が原因でない場合は病院の治療で、とっくに良くなっているので、わざわざ自費の鍼灸院を受診する必要がないのです。

ですから当院は、「こり」をしっかり治療すれば病状が良くなる患者さんの受け皿としての社会的なニーズ、及び使命を有しています。「こり」に対してはマッサージや整体、整骨院、整形外科、医薬品など、様々なアプローチがありますが、どの療法より当院の鍼治療は「こり」を取れるという実力がなければなりません。

◆「こり」で病態を把握し、治療法を組み立てる。
例えば「急に片耳の聴力が低下した患者さん」が、耳鼻科を受診する前に当院の治療を受けるとします。高度な検査機器を持ちえない私たちは、触診によって耳で起きていることを推察し、治療を行わなければなりません。

その時、私たちが最も参考にするのが、その患者さんの「こりの状態」です。内耳が炎症で腫れていれば胸鎖乳突筋を含む側頸部が異常にこっていることがあります。また、内リンパ水腫などを起こしている場合は、耳周りを含む体全体がむくんでいる場合があります。生活上で過度のストレスがあったかどうかは背中のこり、を診ればわかります。目の病気や、頚椎ヘルニア、顎関節症など、私たちは「全身のこりの状態」がら病態を推測し、患者さんに今の状態を伝えていきます。

◆この症状には、このツボ・・・。ではダメ。
鍼灸師なら症状に応じたツボに鍼を打つのは当然のことです。しかし、目の病気だから「攅竹」「太陽」「合谷」に鍼を打つ、といったパターン化治療(教科書的な治療)で病気が治るなら、私たち鍼灸師は、医師と同様の地位で社会的に活躍できるはずです。しかし、実際は、そうではない。鍼灸を受けても効果がなかった・・・。という印象の人が大半だと思います。

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