店舗移転の決意と覚悟

私たちの治療院は2009年の開院より、おかげさまで今年で10周年を迎えます。
開院当初は妻が一人で治療を行っておりましたが、途中で私も鍼灸の免許を取得し、今では夫婦二人三脚で日々、治療に励んでいます。

妻が心労で体調を大きく崩した時期もありましたが、最近は活力も戻ってきており、元気に治療ができるようになってきました。

さて、当院は、10年という節目にあたり、大きな転換期を迎えることになりました。

事の発端は今年の3月に、現在の大山の店舗の家賃を大幅に値上げしたいとの意向をオーナーから受けたことでした。私たちが理不尽な家賃の値上げには同意しないという方針を取ると、最終的には供託や裁判といった消耗戦になることが考えられ、暗い気持ちになっておりました。

そのような折り、妻がJR板橋駅、目の前に、移転するにふさわしいと思える貸しテナントを見つけました。そこは、ガスも使え、お灸に適した換気扇が7個もついていました。広さも今の倍になますので、スタッフルームも同室につくることができます。早速、契約準備に取り掛かりました。

しかし、契約を進める中、「新しい店舗に移っても、また、家賃の値上げを言われるかもしれない」という思いがわき、次第に不動産屋や貸主への不信感が強くなっていきました。

このまま今の店舗に留まるか、新しい店舗に移転するか、どちらを選ぶのが正解なのかと、答えを出せないまま時が過ぎ、ついに契約最終期限を迎えました。

気持ち的には、大金をかけて移転して上手くいかず後悔するのも嫌だから、移転は止めようとの思いに傾いていました。

その日は、桜が満開で、とても清々しい一日でした。

恩師が、東日本大震災で母との別れに直面した15歳の中学生の体験を話しくださいました。

それは、津波に流されてた少女が瓦礫の下に瀕死の母を見つけ、母を助けようとその場にとどまるか、第二波が来る前に母を残して自分だけ非難するか、どちらを選んでも正解のない選択に迫られた、ということでした。

その少女が背負った思いに比べたら、
自分の悩みは、とてもちっぽけなものに思えました。

結局、店舗を移転するか、留まるか、それは、どちらが正解というものではなく、どちらを選ぶにせよ、その決意と覚悟が重要なのだという気付きを頂きました。

心が定まった時、私の心は晴れ渡り、一辺の曇りもない決意が沸きました。

それは、治療院を移転して、夫婦で力を合わせて、新たな地で理想的な治療院を作ろう、という決意です。そして、その日に、新店舗の契約を行いました。

私たちの原点は、鍼治療を通して社会の役に立ちたいという思いです。そして、夫婦で力を合わせれば、どんな困難でも乗り越えていけるという強い気持ちです。

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