私は、都内で鍼灸院を開業している女性です。今でこそ、気力に満ち、やりがいのある仕事をしていますが、これまでの歩みは決して順風ではありませんでした。
私は8歳の時、スティーブンス・ジョンソン症候群という薬の副作用で、目と肺に障害を負いました。なんとか20代後半までは、無理をして健常者と同じ条件で一般企業に勤め、完璧な仕事をこなしていました。しかし、やがて涙が一滴も出なくなり、呼吸機能も低下し、目の痛みと息苦しさで仕事が困難になりました。「もう自分は働く事が出来ず、生きる術がない。」と、失意のどん底にいました。
そのような中、30歳で筑波大特別支援学校鍼灸手技療法科に入学しました。開業権のある鍼灸マッサージの免許を取得すれば、「自分が働ける環境を自分で整える事が出来る」と、思ったからです。
そして、卒業後まもなく、わずか9坪の小さな鍼灸院を開業しました。そこはベット2台しか置けない、人通りもない路地裏でした。
あれから15年。私がたった1人で始めた鍼灸院は、従業員も増え、駅前店舗に移転し、年間6千人ほどの患者さんを治療する院へと成長しました。5年前に法人化して、都内に90坪の自宅兼治療院も購入しました。現在、2店舗目の開業準備を進めています。
私の鍼灸院は、目の病気で困っている人を対象に、目の専門的な鍼治療を行っています。世の中には、目の耐え難い痛みで苦しんでいる人がいます。また、眼病により様々な不調や不安を抱えながら生活している人が大勢います。
私自身は、自らが鍼治療を受ける事で、人生が変わりました。ですから、私と同じように、目の症状で困っている人の力になる為に、鍼灸院を運営しています。私の体験と治療が患者さんの役に立っている事に大変やりがいを感じています。
患者さんの中には、私が生き生きと働く姿を目の当たりにし、自分も鍼灸師となり、将来は開業すると言う目標を持って、鍼灸の道に進まれた方々もいらっしゃいます。
近年、視覚障害者の職業選択の幅は、大きく広がっています。その中で、「開業は私が自分らしく生きる為の手段」であり、これが最大の魅力だと思います。
オアシスはり灸治療院
院長 小宮麻友美
