炎症性サイトカインと睡眠

には、
強いノンレム睡眠誘発作用があります。
風邪をひいたときに高熱が出て眠り続けるのは、
この睡眠誘発作用のためです。

サイトカインは、1日のリズムの影響を受けていて、
もともと睡眠中に最も血中濃度が上がります。

サイトカインは、脳が寝ている間に、効力を発揮するように出来ているので、サイトカインは脳に眠るように指令を出す。逆に脳が強く活動してる間は、サイトカインは抑制されている。脳を攻撃してしまうから。免疫を優先した覚醒調性機能

一般的に、こうした感染症による睡眠状態の変化は、「感染症に対する免疫系の働きを助けるための中枢神経系反応である」と解釈されることがあります4, 5)。すなわち、感染症においては白血球の活性を上昇させ、ウイルスの増殖が抑制される発熱状態にする必要があり、それに必要なエネルギーを保つために睡眠が必要、という考え方です。

最初 に, 睡眠 について少 し説明 を加 えてお く. 睡眠 には大 きく分 けて 「レ ム睡眠」 と 「ノンレム睡眠」の2種 類 が存在 する. レム睡眠は, 眠 ってい る の に閉 じたまぶたの下で眼球が動 く睡 眠で, この間 に夢 を見 ると言われてい る. 一方ノンレム睡眠は, レム睡眠で 見 られ るような眼球運動 がない眠 りで あ り, 大脳 を休息 させて機能 の回復 を 図 る眠 りとも言われ, ヒ トでは眠 りの 深 さに応 じてさ らに4段 階 に分類 され ている(2).

炎症性サイトカイン

風邪 を引 くと, 熱 が出て眠 くな る.

一般 に, 十分 な睡 眠 は免疫 力 を増強 させ る と言 われ て い る.

サ イ トカイ ンは白血球や神 経細胞 か ら放 出され, 免疫 を増強 する 作用だけでな く, 深い ノンレム睡眠 と 発 熱をひき起 こす. この ように, 免疫 を強める過程 と睡眠 は密接に関わって い ることが明 らか になって きている.

免疫系 を「モバイルブレイ ン」へ

IL-1β は低用量で投与 された場合 は発熱 をひ き起 こさず睡眠 のみ を誘 導するが, 高 用量投与 の場合 は発熱 とノンレムお よ び レム睡眠両方 を阻害す ることがわか った.

つ ま りこれ らサ イ トカイ ン類 は, 細菌感染時 だけでな く, 平常時の 睡眠 にも大 きく関与 している ことが示 されてい る.

IL-1βとTNF-αは, ノン レム睡眠 を制御 してい ると言われ る視 索前野か ら前脳基底部 にかけた脳部位 に作用す ることが明 らか とな り, 脳内 において, 成長 ホルモ ン放 出ホルモン (GHRH) を介 して ノンレム睡眠 に, 322 化学 と生物 Vol. 42, No. 5, 2004 JOURNAL CLUB また血管活性腸管ペ プチ ド (VIP) を 介 して レム睡眠 に作用す ると報告 され てい る. また神経細胞 を使 った研究か ら, IL-1βとGHRHの 受容体 は とも に脳 視床下部GABAニ ュー ロン に存 在 してお り, この神 経細胞 内Ca2+濃 度 を上昇 させて, 神経活動 に作用す る こ とがわか っている.

免 疫 系 はサイ トカイ ン類 を通 じて脳 に指 令 を送 り, 睡眠調節 を行 なっているこ とははっきりしてい る. 睡眠 の役割の 一つが, 大脳 を休息 させ ることで ある とす ると, 睡眠調節の経路 の一つが末 梢 である免疫系か ら中枢 である脳へ と 伝 わ っている現象 は大変興味深い.

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